Drivin' with The Devil

主に自作小説・ロック論・マンガ論などを”狭く深く”書いてます。 どうぞ気軽に楽しんでいってください。。。!! 

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 それから五年後。
 新宿を拠点に暗躍する地下組織、所謂マフィアの中で急速に力を付けている集団があった。

 

 『樫山(かしやま)興業』は日本のどこの暴力団にも属さない愚連隊的集団である。
 リーダーである樫山シゲルに惹かれる構成員が集まり、麻薬密売、売春といったものから果ては人身売買や殺人請負に至るまで他の暴力団が尻込みする犯罪をやってのける狂犬どもの集まりだ。

 

 シゲルは若干三十歳未満(誰も彼の実年齢を知らない)という若さでありながら男を惹きつける強烈なカリスマ性と、女を虜にする異様なフェロモンを兼ね備えていた。
 彼は喧嘩が滅法強く、抗争相手を素手であっさり片付けてしまうほどのステゴロだった。
 何よりも彼はその眼力で目の前に立つものを平伏させてしまう超能力にも似た力を持っているのだ。

 

 こうして人数こそ十数人と少ないが、地下組織の中で確固たる地位を築き上げている。
 噂のレベルに過ぎないが、ここ五年間で若い女性が次々と誘拐される事件が頻発しているが、その犯人はシゲルなのではといわれている。

 

 シゲルのフェロモンに吸い寄せられた女性はさんざん弄ばれた末に売春婦に身を堕しているという。
 その臓器を闇で売買されることもあるという。
 そして、シゲル自身が女性の肉体を食べているのではないかという話までもがまことしとやかに囁かれたりもしている。

 

 最近では犯罪行為を見逃してもらうべく警察や代議士らと癒着しているとのことだ。
 混迷の度を深める日本社会は樫山興業が生きていくのにピッタリの場所なのであろう。

 

 今夜もシゲルは悪の限りを尽くす。

 

「馬鹿野郎!そんな安い金額で売るほど今回のハッパは質が悪くないぜ!」
 深夜の首都高速。

 赤いアウディの後部座敷にて携帯電話で怒鳴っているシゲル。
 そのあまりの怒気に運転手をはじめとする子分達も怖さで小刻みに震えていた。

 

「一億だ、一億!ビタ一文まけないぞ!さもなけりゃてめぇら全員切り刻んで富士の樹海に生ゴミとして捨ててやるからな!わかったな!」
 散々怒鳴り倒して、シゲルはさっさと電話を切ってしまった。

 

「フゥーッ、人間どもが…!」
 今度は抑揚のある口調で呟く。
『ガクブル…』
 余計怖くなってしまう子分達であった。

 

「おい、Kホテルで降ろせ。」
 それだけ言うと今度はブンと無口になってしまうシゲル。
『ウィン』
 車の窓を開けて空を見やると満月だった。

 

 

 都内有数のシティホテルであるKホテルはシゲルの定宿となっていた。
 シゲルには当然住まいである高級マンションもあるのだが、そこに足を踏み入れた者は誰一人としていなかった。

 

 一度冗談めかしてシゲルの子分とその彼女が忍び込もうとしたことがあったのだが、シゲルに見つかってしまい惨殺され、東京湾の藻屑となってしまった。

 

『シュンッ』
 エレベーターを颯爽と降り、自分の部屋へと向かうシゲル。
『カチッ』
 カードキーでドアを開け、無言で入って行く。

 

「マリコ。帰ったぞ、マリコ!」
 いつもなら愛人の杉山マリコがバスローブ姿で誘惑せんと待ち構えている。
 しかし、今日に限ってマリコの姿はリヴィングスペースにはなかった。

 

「何だよ、キメて寝ちまったのか?」
『ガチャッ』
 乱暴に寝室のドアを開ける。

 

「…」
 しかし、そこにもマリコの姿はなかった。

 

「ふむ、何処行きやがったんだ?」
 シゲルの苛立ちは結構なところまで来ていた。
 リヴィングと寝室にいなければバスルームしか後は考えられない。
 だが、バスルームの灯りは消えている。

 

『ガチャッ、パッ!』
 鍵はかかっていない。
 扉を開け、灯りを点ける。

 

「ウワッ!」
 滅多に驚きの表情など見せないシゲルが思わず声を上げた。

 

「マリコ…」
 マリコが全裸で死んでいた。
 バスタブに窮屈そうに身体を押し込められて。

 

 背中を鋭利な刃物のようなもので一突きにされていた。
 バスタブに水は張られてなく、代わりにマリコが流した血で彼女自身がヒタヒタに浸されていた。

 

「ウーム…」
 普段狼狽することのないシゲルの顔に困惑が表れている。
 鉄っぽい血の臭いがバスルーム内に充満している。

 

「まぁ、いずれ食うつもりだったからこれは良しとして…一体誰に殺されたんだ?」
 異常な思考回路で物事を考えるシゲル。

 

『バタムッ!』
 シゲルは乱暴にバスルームのドアを閉め、リヴィングへと戻ってきた。

 

「…」
 マリコを惨殺した人間がまだこの部屋に潜んでいるかもしれない。
 そう考えて彼は神経を研ぎ澄ませた。

 

『タッ』
 再び寝室へと歩を進めるシゲル。
 灯りを点けしげしげと周囲を観察した。

「ヘタクソめがっ!」
 争った形跡があるクローゼットに気付いた。
『グイッ!』
 一気に扉を開けた。

 

 

『シュウッ!』
 物凄いスピードで何かが飛んできた。
「クッ…!」
『シパッ!』
 咄嗟に身をかわすシゲルだったが、何かが頬を翳めた。
 自分の皮膚が裂ける音を聞いて逆に高揚感を覚えている自分がいる。

 

「誰だっ!?」
 短時間にしてここまで自分を追い詰める賊の存在を問い質した。

 

 

 

~つづく~

 

 

*この物語はフィクションです。

 

 

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コメント

(つ∀ヾ)見てないよ…(つ∀・o)∩ちらっ♪
またゆっくり・・・
2009/09/18(金) 07:26:09 | URL | あ~たん☆☆ #79D/WHSg[ 編集 ]
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