Drivin' with The Devil

主に自作小説・ロック論・マンガ論などを”狭く深く”書いてます。 どうぞ気軽に楽しんでいってください。。。!! 

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「何だよ!彼氏が帰ってきたってのにその驚きようは?」
 そこに立っていたのはジョウジだった。

 

 彼は何故かドアを半開きにしたまま半身の体勢になっていた。
「いや、ジョウジならいつも鍵でドアを開けるから。」
「それなら何でドアを開ける時”遅いじゃない!”なんて言ったんだい?」
「あっ…」

 

 ミウはそこで初めて自分が重大な間違いをしてしまったと確信した。
 明らかにジョウジは自分のことを疑っている。
(もしかして私が浮気でもしてると思ってる?それとも…?)
 ミウの頭の中で物凄いスピードで試行が渦巻いていく。

 

「当ててみようか、ミウ。」
 そう言って薄ら笑いを浮かべるジョウジ。
 その下卑た目線、醜く曲がった口をしげしげと眺めるミウ。
 これまで見せたことのない気味の悪い表情にミウの背筋が凍りついた。

 

「ミウは旅行以来俺の性格が変わってしまったと思っているだろ?確かにそれまでの俺はどっちかって言うと内気で優しい人間だったからな。」
「…」
 ミウは蛇に睨まれたカエルのように身をすくめている。

 

「変わったんじゃないんだ!俺はな、人間を超えたんだよミウ!」
「ジョウジ、何言ってるのよ?さっぱりわかんないよ…」
 ミウの目から涙が溢れ出てきた。

 

「人のことを思いやったりとか、気を遣ったりするのが人間社会のルールだろ?そういう煩わしいことから俺は解き放たれたんだよ!そして俺は人間を超える存在として君臨するんだ!」
「ウッ、ウッ、ウッ」
 およそ正気とは思えないジョウジの告白にミウは嗚咽を漏らす。

 

「けど、ミウはそんな俺のことを元に戻そうと考えている。だから親を助っ人としてここに呼ぶなんて行動に出たんだね。」
「!!」
 自分の行動が完全に読まれていたことに驚くミウ。

 

「知ってたの?じゃあ…」
 新たな疑問が恐怖とともに涌いてきた。
「俺が頂点に君臨すること、それは誰にも邪魔なんかさせない!たとえ愛している君にもねっ!」

 

『ズゥサァ!』
 そう大声で捲くし立てるとジョウジはドアを全開にして半身で隠れていた左手を出した。
 そこには何かが握られている。
 二つの巨大なスイカのように最初は見えた。

 

「キャアァァァァァーッ!」
 物体を認めた瞬間、ミウの嗚咽が絶叫へと変わった。
 ジョウジが持っていたのはミウの両親の生首だったからだ。

 

『ズサッ!』
 立っていることができずに床に突っ伏してしまうミウ。
 生首の底からは夥しい量の血が滴っていて、瞬く間に玄関先に血だまりができた。
 狂ったジョウジは二つの生首の髪の毛を持っていて、ジョウジが動く度に哀れな両親はゴツゴツと鈍い音を立ててぶつかり合っている。

 

「アァァァァァァァーッ!」
 喉もちぎれんばかりのミウの絶叫が周囲にこだまする。

 

「俺の邪魔は誰にもさせないって言ったろ。邪魔者は消すんだよ、こんな具合に!」
「フンッ!」
 ジョウジはそう吐き捨てると、まるで砲丸投げでもするかのように両親の生首を部屋の中に放り投げた。

 

『ビュンッ…グガチャァッ!』
 哀れな二つの生首は壁に凄い勢いで激突して、そのまま床に転がった。
 二つともカッと目が見開かれており、だらしなく開いた口元に象徴されるその表情には今上への無念が見て取れた。

 

「アギャッ、アギャアァァァァァァーッ!」
 ミウの絶叫がピークに達した瞬間、
「苦しいよな、楽にしてやるぜ!」
 懐からダイバーナイフのような刃物を取り出したジョウジ。
 そして、
『グッシュウウウゥ!』
 床に伏しているミウの背中を一突きにした。
「ガボッ…!」
 ミウの口から血が溢れる。
 喉を血の味が逆流して広がり、噎せ返った。

 

(ジョウ…ジ…!)
 自分を裏切った男の名前が彼女の最後の思考だったのか。
『バタッ!』
 程なくして倒れ込むミウ。
 全く身動きしないことから絶命したのだろう。

 

「ケッ、ヒャハハハハハハハ!」
 まだ温もっている恋人の亡骸を見詰めているうちにジョウジの歪んだ口元から喚起の笑い声が発せられた。

 

「ヒャハハハハハハアッハハハハハァッ!」
 もはやその表情はジョウジ本来のものではなく、悪鬼としか形容できないほど残忍なものであった。

 

 

 翌日、楠木ジョウジは楡井ミウ、そして彼女の両親を殺害した容疑者として全国に指名手配された。
 当然のことながら勤務先の間旺食品株式会社も解雇された。
 しかし、ジョウジは手がかりひとつ残すことなく忽然と姿を消してしまった。
 この猟奇的な殺人事件は新聞やワイドショーを賑わせ、犯人が捕まっていないことから世間的にも注目の的となったが、物事が風化していくのは人の世の常。

 

 やがて何もかもが綺麗に忘れ去られた。

 

 

 

 

 

 

~つづく~

 

 

*この物語はフィクションです。

 

 

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コメント

み、みてしまったil||li _| ̄|○ il||li
2009/09/13(日) 12:42:27 | URL | あ~たん☆☆ #79D/WHSg[ 編集 ]

わ、私もみちゃった ・・・〓■●
2009/09/13(日) 17:19:52 | URL | Bear Pooh #79D/WHSg[ 編集 ]

きゃー。。。。。(ノ>(ェ)<。)ノ
2009/09/14(月) 21:07:21 | URL | sabaraja #79D/WHSg[ 編集 ]

ここからどうなるのか いよいよですね^^楽しみですb
2009/09/15(火) 23:44:11 | URL | ちえぴぃ #79D/WHSg[ 編集 ]
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