Drivin' with The Devil

主に自作小説・ロック論・マンガ論などを”狭く深く”書いてます。 どうぞ気軽に楽しんでいってください。。。!! 

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 ミウが危惧していた通り、旅行から帰って以来一月間にジョウジはすっかり人が変わってしまった。
 会社内において、今までのジョウジは前に出過ぎることを良しとせずに常に周りの営業と協調し合い仕事をしていた。
 つまり潤滑油のような役割を果たしていたのだ。

 

 それが旅行以降我先に行動するようになった。
 その積極性は営業としては大きな武器になるものであったのだが、度が過ぎてスタンドプレーに走ることが多くなったのだ。
 他の社員の担当業者であろうが、エリアであろうが平気で荒らした。

 

 また、顧客に対しても高圧的な態度に出ることが多くなり、売り上げは上げるも顧客からは嫌われる存在となった。
 会社の業績に貢献しているとはいえあまりに度を越したその行動に営業部長が注意をした時も、
「”営業は成績が全て”と仰ったのは部長、アンタじゃないですかっ!」
と食って掛かり、顰蹙を買った。

 

 今やジョウジは社外はおろか社内の要注意人物としてマークされていた。
 プライベートにおいても例外ではなかった。
 表立ってミウに暴力を振るったり、大声を出したりということはなかったが、ミウの提案をほとんど聞かずに自分の意見を押し通すようになった。
 ミウが何か言おうものなら頑として拒絶した。

 

 また、元来博愛主義者で動物などもその範疇内としてこよなく愛していたジョウジだったが、最近は外を歩いている時に散歩している犬を見ると露骨に顔をしかめるようになったし、ひどい時には吠える犬を足蹴にして飼い主とトラブルを起こすこともしばしばあった。
 更には部屋に侵入してきた昆虫や蜘蛛といった虫類も以前は捕まえて外に逃がしていたのに、平気で殺すようになっていた。

 

 ミウはそんなジョウジの豹変に心を痛め恐怖すら感じていたが、彼と別れようとは決して思わなかった。
 むしろ自分がジョウジを元に戻すのだという使命感に似た感覚が今のミウを支えていた。
 だが、意識とは逆になかなか行動に出られないでいるミウがいた。
 理由はわからなかった。

 

 

 そんなある休日の深夜、二人の住むアパートにて。
「ウーン…」
 眠っていたミウはあまり良い夢を見ていなかったようで、若干苦しげな表情で目を覚ました。
「あれ!?」
 傍らにジョウジの姿がないことを認めるミウ。

 

「ん?」
 キッチンの方から光が漏れている。
 そこにジョウジがいることは瞭然だ。

 

『スゥーッ』
 ミウはゆっくりと起き上がり静かに、極めて静かに歩を進めた。
「キィ』
 そしてドアを少しだけ開ける。

 

「ハッ!?」
 そこに飛び込んできた光景は異様なものであった。
「ギシギシ、ギシギシッ!」
 ジョウジが包丁で何かを切っていた。
 肉を切る音に混じり、骨を切る音がミウの神経に障った。

 

「ヒッ!」
 どこで捕まえてきたのだろう?
 彼が切り刻んでいたのは、はっきりとは確認できないが犬か猫のような動物に見えた。
「ギシギシッ!」
 既に動物は絶命していたが、それまで生きていたことを証明するかのように切り離された各部分から液体、つまり血が滴っているの見て取れた。

 

「ウゲッ!」
 すえた血の臭いのせいだろうか、ミウは強烈な吐き気を催し、その場を離れた。
『ズサッ!』
 そしてそのままベッドにうつ伏せに倒れた。
「ググンッ、ググンッ!」
 ミウの身体を猛烈な動悸が襲う。

「ジョウジ、どうしちゃったのよ?」
 ミウの目から涙が溢れる。
「ウッウッウッ…」
 胸が詰まるほどの悪寒を止めることが出来ずにミウは泣き続けた。

 

『ギシギシ、カタンッ!』
 まるで自分が見られていることに気付いていたかのようにジョウジは包丁を動かす手を止め舌なめずりを一つした。

 

 

 翌日の日中、昼休みの時間帯。

 


「…」
 ミウは同僚女子社員からの食事の誘いを断り、独り公園のベンチに座って考え事をしていた。
 昨夜の出来事がまだ自分の中で生々しいものであったことで食欲が全く湧かず、ひたすらそのことについてのみ意識を張り巡らせていたのだ。
 ミウ自身自覚するところではなかったが、ジョウジの性格が変化して以来彼女の精神は安らかになることがなく、それは青褪めた顔色、落ち窪んだ瞳、こけた頬に現れていた。

 

(ジョウジ。あそこで一体何が起こったの?)
 ミウはジョウジが失神し、助けを呼びに行った時のことを思い出していた。
 あの時その場を離れたことを激しく後悔している。
「フゥーッ」
 何とかして元のジョウジに戻って欲しいとずっと思案していたが、明確な解決策が浮かばず、思い悩む日々が続いていた。

 

 一番手っ取り早く確実な方法はジョウジを病院へ連れて行くことであると結論は既に出ている。
 しかし、今の攻撃的な性格の彼にその提案をすれば無下に断られるばかりでなく、その後の自分の身の安全も保障されないだろうとミウは恐れた。
 けれども、昨夜の異常な行動を見るにつけ事態は一刻を争っている。

 

 

「話そう。」
 ミウは自分の意志を小さい声ではあったが確実に口にした。
「何をだい?」
 不意に声が聞こえた。
「ヒィッ!?」
 声の主はジョウジだった。

 

「ジョ、ジョウジ!急にどうしたのよ?びっくりしたじゃない!」
 ミウの心臓が早鐘を打っている。
「驚かせてごめん。けど、俺はもう何分も前から君の目の前に立ってたんだぜ」
「エッ?あ、そう、そうだったの。こっちこそごめんね。ちょっと経理課のひとみから厄介な恋愛話持ちかけられちゃってさ。それで考えに集中してたの。」
 ミウはジョウジに気取られないように必死に場を取り繕った。

 

「そうなんだ。」
『ゾクッ!』
 言葉とは裏腹にそれを見透かすようなジョウジの冷たい表情と視線にミウはまたひとつ戦慄を覚えた。

 

 

 その日の夜、二人の住むアパート。
 時計の針はもう十一時になろうとしていた。
「遅いな、どうしたんだろ?」
 いつもなら遅くとも十時過ぎには帰宅するジョウジのことも心配だったが、ミウには別の心配事もあった。

 

 ジョウジを病院へ連れて行くことに実家の両親に協力を仰いだのだ。
 娘のただならぬ様子に両親は願いを聞き入れアパートへと向かっている。
 しかしながら、実家を出るという連絡があったのが七時半頃。
 3時間以上も時間が経っている。
 さっきから何度も二人の携帯に電話を入れているが、どちらの電話も留守電のまま。

 

(いくらなんでもおかしい…何かあったのかしら?)
 不安に思ったミウは警察に相談しようとテーブルの上に置いてある携帯を取ろうとした。
「ピンポーン!」
 まさにそのタイミングでインターホンが鳴った。

 

「あっ、はーいっ!」
 両親が到着したと思い、ミウは受話器を取らずに玄関へと赴いた。
「もう、遅いじゃない!今電話しようと思ったんだから!」
『ガチャッ!』
 

 

 ミウがドアを開けると、
「ギャッ…!」
 思わず声を上げてしまった。

 

 

 

 

 

 

~つづく~

 

 

*この物語はフィクションです。

 

 

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コメント

今日は眠れなくなりそうで明日みます~(つ∀ヾ)見てないよ…
2009/09/10(木) 23:46:26 | URL | あ~たん☆☆ #79D/WHSg[ 編集 ]

ね、寝る前に読まなければよかったといつも思うんだけど怖いものみたさでついつい;;
2009/09/11(金) 00:53:50 | URL | Bear Pooh #79D/WHSg[ 編集 ]

なななんだぁぁぁ~
2009/09/11(金) 14:56:00 | URL | あ~たん☆☆ #79D/WHSg[ 編集 ]
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