Drivin' with The Devil

主に自作小説・ロック論・マンガ論などを”狭く深く”書いてます。 どうぞ気軽に楽しんでいってください。。。!! 

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「わぁ…」
 全てを読み終えたミウは恐怖と気持ち悪さですっかり落ち込んでしまった。
「こ、こんな怪物、実在したんて信じられないわ!」
と、あえて大きな声を発したりもした。

 

 それでも彼女の恐怖が完全に消えることはなかった。
 魔女伝説が架空のおとぎばなしと断言することもできない。
 それだけこの物語は荒唐無稽さとリアリティが奇妙な同居を見せていたからだ。

 


「ねぇ、ジョウジもそう思ったでしょ?」
いたたまれなくなったミウは傍らにいた恋人に声をかける。

 


「ジョウジ…?」
 ここでミウは改めてジョウジの異変を認めた。
 最初は自分と同じで怖がっているだけなのだと思っていたのだが、それだけで説明がつかないくらい彼は激しく震えていた。

 

『ブルブルブルブル!』
『ガチガチガチガチ!』
 身体の震えばかりではなく歯まで鳴っている。
 そして何よりも彼は目を開いていない。

 

「キャアッ!」
 ただ事ではない事態にミウは狼狽し、身を硬くした。
 慌ててジョウジの身体を揺さぶってみる。

 

『ガクガク…』
 いくら強く揺さぶっても彼は返事をしない。
「ジョウジ!ねぇ、ジョウジってば!大丈夫なの?」
 意識を確認する声も自然と大きくなる。
 しかし、無常にもジョウジから応答は一切無い。
 目を開こうとすらしない。
 恐怖で気持ちが萎縮しそうなミウであったが、身体が震えていることで逆に彼が生きていることは冷静に判断できた。

 

「そうだ、誰か助けを呼ばないと。」
と、石碑の周囲を見渡すミウ。
「…!」
 しかし、何故かどの方角を見ても視界に人っ子一人見つけることが出来なかった。
「何でよぉっ?」
 苛立ちを声にするミウであったが、事態は一刻を争うことを承知していた。

 

『スクッ!』
 まずミウは身に着けていたスカーフを外し、敷き布団の代わりに地面に置いた。
 そして、震えに震えているジョウジをゆっくりとその場へ寝かせた。
 それは女性にとって力のいる行動であった。

 

「よしっ!」
『タタタッ…!』
 そこから今まで走ったことのないようなスピードで助けを求めに行った。
 ミウがいなくなった石碑前では更なる異変が起きようとしていた。

 

『ボビュボビュボビュ…』
 石碑から異様な音が聞こえてきた。
 それはこの世では聞いたことのない様な物音であった。

 

『ボビュボビュボビュ!』
 音はより大きくなり、
『ボビュウッ!』
一旦止まった。

 

 すると、
『ジェシャアアアアアアァァァッ!』
 石碑から真っ赤な気体が立ち昇った。
 それはユラユラと陽炎のように上がったかと思うと、
『ジャーッ!』
一気に無数の水滴となり上昇した。
 雨が逆に降るような実際には存在することのない恐るべき光景であった。

 

『ムウン…』
 上昇した赤い水滴群はジョウジの頭上約3mの所で赤い雲として浮かんでいる。
『ドッジャアアアアァァァァッ…!』
 そして、赤い雨となって一気にジョウジの身体に降り注いだ。
『ザブザブザブ…』
 ジョウジの身体がみるみるうちに赤い液体で覆われた。
 その光景はおぞましくもジョウジが血塗れになっているように見える。

 

『ジュブジュブジュブ…』
 ジョウジの身体を浸していた赤い液体が今度は身体に染み込んでいく。
『ジュブジュブ…シュウッ…!』
 あっという間に染み込み、ジョウジは元の状態に戻った。
 あれだけ酷かった身体の震えはもう治まっていた。
 しかしながら、意識は回復していない。

 

 すると、また異変が起きた。
『グワアァァァァァァァッ!』
 今度は石碑が地鳴りを上げたのだ。
『フワッ!』
 間もなく石碑はその巨大さにも拘らずあっさりと宙に浮いた。
『スゥー』
 赤い水滴と同じようにジョウジの頭上まで移動する。
 石碑の周りには黒い靄のようなものが発生している。

 

『ギュワリギュワリギュワリ…!』
 石碑からはまるでそれが生き物であるかのような不気味な音が聞こえている。
 それはもの凄く大きな音量となって高原全体に鳴り響く。
 それでもジョウジはピクリともしないで横たわっている。

 

 数十秒ほど石碑は浮遊していただろうか。
 刹那に、
『ボッガアアアアアアァァァンッ!』
石碑は爆発でも起こしたかの如く四散した。
『ブチブチブチブチブチィッ!』
 石の飛礫は全てがジョウジの身体めがけて飛んでいく。
 そして、彼の身体にめり込んでいった。
 

 

 何千、いや何万という飛礫がめり込んでいく。
 しかし、不思議なことにジョウジの身体からは一滴の血も流れない。
 それどころか傷さえ確認することができない。
 あれだけの石飛礫が彼を襲ったというのに。
 

 

 異変はこれだけでは終わらなかった。
『ビバァァァァァァァァッ…!』
 石碑が建っていた地点から突如光が発せられた。
 その光は先般の靄と似ており、どす黒いものであった。
 光が消えた後には、
『ズンッ!』
あろうことかまた石碑が建っていた。
 さっき砕け散ったものと寸分違わぬものだ。

 


『パッ!』
 ここまでの出来事が終わった途端にジョウジが目を覚ました。
 うすぼんやりとした表情で辺りを見回す。
「俺…?」
 自分が何処にいるのかを把握していない様子である。
「あっ、旅行…魔女……」
 次第に記憶が呼び覚まされているようだ。
 断片的であるが、現状を確認している感じのジョウジ。

 

「ミウ…ミ……ど…こ…だ…?」
 ここでようやくジョウジは恋人が側にいないことに気がついた。
『ガバァッ!』
 慌てて起き上がろうとするジョウジだったが、
「ウッ!」
激しい立ち眩みですぐに立ち上がることができなかった。
「ミウ……何処へ…行った……?」
 猛烈な寂しさに見舞われるジョウジだった。
 しかし、そんな暗い気持ちもすぐに消されることとなった。

 

 

「こっちです!早くっ!」
 彼方から耳に慣れた愛しい人の声が聞こえてきたからだ。
「ミウ!」
 まだだるさで自由に動かない身体を必死になって意中にしようとするジョウジ」
「あぁっ、良かった!ジョウジ気が付いたのね!」
 ジョウジの様子を認められる地点まで来たミウは喜びで声を上ずらせた。
「ミウ…」
 ミウの後ろには石碑を管理している施設の人間と思しき男が二人いた。
 彼女が自分を助けるために人を呼んできてくれた事実をジョウジはようやくここで理解した。

 

 

「もしもし、あなた大丈夫ですか?」
 男の一人が心配そうにジョウジの顔を覗き込む。
「えぇ、ウッ!」
『ブチンッ!』
 すると、どういうわけか大丈夫であると受け答えをしようとしたジョウジ頭の中で何かが弾けた。

 


(何だ…この…感覚は……?)
 下を向き考え込むジョウジ。
 明らかに体調が悪そうに見える。

「ジョウジ?どうしたの?やっぱりどこか具合でも…」
『スッ』
「えっ!?」
 恋人を心配して駆け寄ってきたミウをジョウジは右手で制した。
「ジョウジ?」
 困惑するミウをよそにジョウジはピョンと飛び起きた。

「おぉっ!?」
 その様を見て施設の男たちが頓狂な声を上げる。
「お騒がせしてすいませんでした。」
「ジョ…」
 ミウはジョウジが自分の想定範囲よりも元気であることを悟り嬉しい気持ちでいっぱいだったが、何故自分が制せられたかということに一抹の不安を覚えていた。

 

「実は僕、こういう怖いスポットに来て舞い上がっちゃって、大好きな彼女をちょっと困らせてやろうと失神したフリをしていたんですよ。」
「はぁ?」
「そうしたらいつの間にか寝入っちゃったんです。仕事の疲れが溜まっていたんでしょうね。」
「ちょ、ジョウジったら。」
『サッ』
 ミウの横槍を制するジョウジ。

 

「とにかくイタズラが過ぎてしまったことはお詫びいたしますので、どうかここはお引取りください。」
「そうですか。人騒がせなことは止めていただきたいものですね!」
「本当ですよ!今後気をつけてくださいね!」
 呆れた様子で通り一片の説教言葉を残し、職員たちは帰って行った。

 

「ジョウジ、あなた…」
 納得がいかないミウは声を荒げる。
「大丈夫だ。ゴメンよ」
 それに対しジョウジは落ち着き払って応える。
 謝罪こそしているが、有無を言わさぬ威圧感がそこにはあった。
『ブルッ!』
 ミウはジョウジの態度に何故か悪寒を覚えた。

 

 その日の夜。
「スゥーッ、スゥーッ…」
 ミウたちが泊まっているホテルの部屋。
 自分の腕枕で愛しい恋人ミウが可愛らしい寝息を立てて眠っている。
 その横顔をジョウジはジッと見詰めていた。

 

「グッ!」
 すると突然ジョウジは頭を抱えて呻き出した。
「ムムムッ!」
 相当痛むようで頭を抱えたままベッドに蹲ってしまった。
「ムムムッ!」
 それでも隣で寝ているミウに悟られないように枕に顔を埋めて痛みを堪えるジョウジであった。

 

(ジョウジ…)
 ミウはこの時点でジョウジの異変に気付いていた。
 しかしながら彼女にはどうすることもできなかった。

 

 

 

~つづく~

 

 

*この物語はフィクションです。

 

 

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コメント

こ、こわい;;;; どうなっちゃうの;;
2009/09/07(月) 09:14:27 | URL | Bear Pooh #79D/WHSg[ 編集 ]

ちょっと怖いの好きだったりする┃電柱┃_σ)チラッ  
2009/09/07(月) 22:13:17 | URL | あ~たん☆☆ #79D/WHSg[ 編集 ]

夜読めない・・・ (´;ェ;`)ウゥ・・・
2009/09/08(火) 00:18:19 | URL | sabaraja #79D/WHSg[ 編集 ]
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