Drivin' with The Devil

主に自作小説・ロック論・マンガ論などを”狭く深く”書いてます。 どうぞ気軽に楽しんでいってください。。。!! 

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「ただいまーっ!」

 少女は元気良く言った。

 

「おかえり」

 母は娘が帰って来たのを認めると彼女の方を向いて答えた。

 

「今日は寒かったぁっ!」

 娘は息を弾ませて母に向かって思いのたけをぶつけた。

 自分がどれだけ寒い中勉強に、運動に頑張ってきたのかを評価してもらいたかったのだ。

 

「寒いのはあなただけじゃないわ。世の中の人たちみんな寒い中頑張ってるのよ」

 母はそんな娘の気持ちを汲み取りながらも、つっけんどんに言った。

 娘を甘やかしたくないが故の態度だった。

 

「ちぇっ…ママはいつもそうなんだから…!」

 娘にも母の思いは伝わっていた。

 それでも子供として、子供にしかできない甘えを許してほしい気分だった。

 

 

「ほらっ、そんなことより帰って来たんだからマフラーや手袋外しなさい。家の中なんだからね」

 何故か一向に防寒のものを取ろうとしない娘に母が焦れた。

 

「だって…家の中も超寒いんだもん!まるで冷凍庫にいるみたいよ!」

「お行儀が悪いわ!早く外しなさい」

 母親の焦れは怒りへと変わりつつあった。

 

「ママだって家の中なのにコート着たままじゃないのよ!」

 娘が異議を唱えた。

 

「そんなこと言うけど寒いわ…ごめんね、ママ勝手なこと言っちゃって」

「ううん、いいの。私こそごめんなさい…」

 やはり母娘だ。

 ちょっとした気持ちの行き違いもすぐに解消できる。

 

「けど…」

「どうしたの、ママ?」

 

「変ねぇ。どうして家がこんなに寒いんでしょう?あなたが言ったように冷凍庫みたいだわ…」

「うん…私もずっとそう思っていた」

 

 二人が共通の疑問を投げかけ合ったその時だった。

 

『ガサッ!』

 奥の方で何かが動いた。

 

「キャッ!」

「誰?」

 

『ガサッ、ガサッ!』

 現れたのは長髪で髭面の男だった。

 母娘にとって全く面識のない男。

 見るからに不潔そうでホームレスを思わせる風貌だった。

 けれども防寒対策は万全のようで厚手のコート、マフラー、手袋に身を包んでいる。

 

 二人は思わぬ闖入者に恐怖した。

 

「あなた誰?」

「可哀想になぁ…寒さですっかりおかしくなったか…」

「えっ…!?」

 

「ここはお前らの家じゃない!」

「何…言ってるの?」

 

 

「ここはお前らが閉じ込められてる冷凍庫の中さ!わかるか?お前らは俺に誘拐されたんだよ!」

 

 

 

 

~~~終~~~  

 

 

 

 

*この物語はフィクションです。
 
 


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「ねぇ…」

「ん?どうした?」

「しりとりしましょ!」

「唐突だなぁ!俺は運転中だぞ!?」

 

「だって私だけ助手席でリリアン編んでるなんてつまんないんだもん…ねぇ、退屈しのぎにしりとりしましょうよ!」

「ワガママなんだから、もう…うん、わかったよ。しりとりやろう」

「わーい!」

 

「リアクションが昔の漫画に出てくる子供みたいだなぁ」

「つまんないこと言ってると次のカーブでシフトレバーをニュートラルにしちゃうぞ!」

「それだけは勘弁して…」

 

「冗談よぉ、冗談!じゃあしりとり始めるわね!あ、その前に今からやるしりとりは”特別ルール”でやってみたいの。いいでしょ?」

「”特別ルール”?」

「うん!”一文字しりとり”!」

「へ…!?!?」

「一文字でしりとりをやっていくのよ。わかる…?」

「俺はそこに困惑してるわけじゃないんだが…」

 

「つべこべ抜かすと次の信号でハンドル思い切り右に切っちゃうぞ!」

「死んじゃう、死んじゃう…」

 

「OKね!じゃあ私からいくわね!うーんと…”蚊”!」

「”か”かぁ…」

「あ、言っとくけど今の”か”は虫の”蚊”なの。だから違う”か”を言ってちょうだいね(はあと)」

 

(これって面白いのかぁ…!?)

 

「りょ、了解!じゃあね…俺は”科”!」

「ちょっとぉ、”科”だけじゃ意味通じないじゃないのよぉ!そんなんじゃダメ!1ペナね!」

「1ペナもさることながら何で俺が”科”って言ったのわかったんだよぉ…?」

「以心伝心なの!キャハッ、恥ずかしい!」

 

「俺は怖いよ…」

「ゴチャゴチャ男らしくないわね!次の橋の欄干から車ごと落っことしちゃうぞ!」

「スイマセン…」

 

「もう、しょうのない人。じゃあアナタから始めていいわよ!」

「ようし、いくぞ!”ふ”!」

「”へ”!」

「”へ”!?」

「”フヘヘ”!」

「”フヘヘへ”!」

「”フヘヘへへ”!」

「もはやしりとりだってわかんないくらいシュールだよぉ…」

 

「1ペナね!」

「ふざけるなよ!」

「あーっ、何怒ってるのよ!たかがしりとりに負けたくらいで大人げない!こうなったら急にサイドブレーキ引いちゃうぞ!エイッ!」

 

『キキキキキィッ!」

「危ないっ!」

 

 

 

『ガッシャァァァァァン…!』

 

 

 

~ここは三途の川の渡し場~

 

 

 

「ねぇ…」

「何だよ!」

 

「しりとりしましょ!」

「やだよ!」

 

 

 

 

≪G A M E  O V E R≫  

 

 

 

 

 

*この物語はフィクションです。
 
 


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 ボクは警備員!

 

 

 今日は街中のとあるビル前で外壁修理作業をしているゴンドラの下で警備をしているんだ。

 何たってゴンドラ作業していて下を通る通行人の皆さんに万が一のことがあったらいけないからね。

 

 

 さぁ、今日も一日頑張るぞ…!

 

 

「あの…すいません…」

「はい、何でしょう…?」

「四腰(よつこし)デパートはどこにありますか…?」

「あぁ、四腰はこの通りをまっすぐ行って2つ目の信号を右に曲がって、しばらく行くと左側に見えてきますよ」

「どうもありがとうございます」

「お気をつけて…!」

 

 

 ふぅ、やっぱり街中で制服を着てると色々訊かれるもんだな…

 直接仕事には関係ないけど、他人の役に立てるって嬉しいね。

 

 

「すいません!」

「はい、何でしょう…?」

「ライヴハウス”ボンバー”ってどこですか…?」

「えっと…僕はあまりこの辺詳しくないんですけど…確か、この通りをずっとまっすぐ行くと右側に西映(せいえい)プラザというビルがあります…そこの地下がライヴハウスだったような…」

「わかりました…!とりあえず行ってみます…!」

「お気をつけて…!」

 

 

 うわぁ、ちゃんと答えられなくて恥ずかしいな…

 けど、今の娘可愛かった…

 

 

「ちょっと、お巡りさん…!」

「はっ…?ボクは警備員で……」

「そんなことどうでもいいのよぉっ…!ちょっとぉ、この辺で美味しいそば屋さん知らない…?」

「そばや……ですか……?」

「どうしても梅そばが食べたくなってねぇ……」

「500mほど戻るとコンビニがありますのでそこで訊いた方が良いかもしれませんよ…」

「まぁ、仕様のないお巡りさんねぇ…わかったわ、ありがとう」

「どういたしまして……」

 

 

 俺、お巡りさんじゃないから…!

 警備員だから…!

 

 

「君…!」

「はい……!?」

「カーネギー・ホールにはどうやって行けば良いのかね…?」

「1Kmほど戻ると千代(せんだい)駅です。そこで空港線に乗って千代空港まで行ってアメリカ、ニューヨーク行きのチケットを買って飛行機に乗れば行けますよ」

「成程、感謝する」

「パスポートをお忘れなく…!」

 

 

 ………

 何だ、あのオヤジ……!?

 

 

「hrveivnevbnabcsdviovaenviaenvioaeviasgaasodfpsjk」

(ちょっとお尋ねします、警備員さん)

「eshdkvmbohkbj」

(はい、何でしょう?)

「hctyedbhcuifvndfuivnmpilafaczbfuvmsgzxmnvk?」

(ネビュラ遊星にはどうすれば帰れますか?)

「tdhgigosjxnbvbsfwmcjkchjsgzmcvksxgbzmslfvk、xhafaasjcjkvhsgsjkcnzvxjcjcvhxl!」

(ここから30kmほど南へ行くと角田(つのだ)市という所があります。そこに宇宙センターがありますので、打ち上げロケットに紛れて乗って行くと火星くらいまでは行けるかと…火星からは宇宙タクシーを拾えばネビュラまでだったら8万ガンバジあれば帰れると思うんですがねぇ…)

「ewhsgdfugoxnzxyhsofmchxovnxhggszbskgfvlvsxhslxd」

(そうですか、8万ガンバジなら財布に入ってるから大丈夫です。ご丁寧にどうもありがとうございました)

「tergxbhvjlgfbgmbgk,bmgkbg、vblgb、lgbgbgsnhsdbchsbcvyhsb」

(角田市のロケットは打ち上げ失敗が多いから、気を落とさずに粘り強く試してください)

 

 

 いやぁ、宇宙人までに道を尋ねられるとは思わなかったなぁ…!

 星系語を勉強しておいて良かった…!

 

 

 さぁて、仕事仕事…!

 

 

 ボクは警備員……!!

 

 

 

 

 

 

 

【工事無事終了】      

 

 

 

 

 

*この物語はフィクションです。
 
 


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『今日の占いメルトダウン!』

 

 ん…!?

 

『今日一番良い運勢の星座はいて座のアナタ!何をやっても上手くいく最高の一日だよ!ラッキーカラーはイエロー!ラッキーアイテムは「ゴルゴ13」の5巻、42巻、61巻、103巻を全部そっとバッグに忍ばせておくと素敵な出会いがあ・り・そ・う・!』

 

 

 そうか!

 今日はそんなにラッキーな一日なんだ!

 ならば信じてその通りに行動しよう!

 

 俺は黄色のネクタイを締め、会社には得意先に直行すると嘘ついて10:00に丸善が開くのを待って「ゴルゴ13」を購入し、42巻がなかったのでその足でジュンク堂書店に寄って4冊買い揃え万全の状態で一日を過ごした。

 

 しかし…

 何も良いことが起きずに終わってしまった。

 むしろ悪いことの方が立て続けに起こった。

 

 お客からクレームの電話が何本も来たり、マックでシェイクをパートのおばさんにこぼされたり、コンビニでお釣りを少なく手渡されたけどレシート捨てたので結局返してもらえなかったり、サボって本屋に行ったのがバレて課長にしこたま怒鳴られたり、帰り道で犬のウンコ踏んだり、ホント最悪の一日だった…!!

 

 おまけにメル友のさっちゃんにもこっぴどくフラれたし……

 あーあ、占いなんか信じるんじゃなかった……

 

「バシャバシャ…」

 俺は朝のハイテンションとは程遠い沈んだ気持ちで靴を洗っていた。

 

「ねぇ…」

 ん…!?

 お袋…!?

 

「ねぇってば…!」

「何だよ、うるせぇな…!」

 

「あのさ、今まで黙っていたけど…」

「だから何だよ…?」

 

「お前の誕生日11月23日になってるけど、実は11月22日生まれなのよ」

「へ………!?」

 

「出生届出す時に間違っちゃってさぁ、アハハハハハハハハハ…!」

「おい、コラッ!何脈絡もなく重大な秘密喋ってんだよ?」

 

「だからお前はいて座じゃなくさそり座なのよ、アハハハハハハハハハハハハ…!」

「”アハハハハ”じゃねぇよ、このババァ、あ、このっ、行くんじゃない!」

 

「おやすみ!アハハハハハハハハハハハハハハハ…!」

「何だ、あのババァ……」

 

「バシャバシャ……」

 けど、さそり座だったら俺が今日厄日だったのも頷ける。

 さそり座は12位だったしね。

 

「おい!」

 今度は親父かよ…

「何だよ、夫婦揃ってマジうるせぇよ…!」

 

「お前は13星座だとてんびん座だぞ…!」

「その情報はいらない……」

 

 

 

 

 

 

 

 

【了】

 

 

 

 

*この物語はフィクションです。
 
 


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男1「寒いっ、寒かっ…!」
 
男2「まったくだ、こんなに寒いのに何で俺たち裸なんだ…?」
 
女1「アンタたちは野郎だからまだイイのよ…!私たちが一番可愛そうだと思わない…?」
 
男1「俺は目の保養になってるから…」
 
女1「エッチ……!」
 
男2「俺通行人しか見えない……」
 
男1「泣くなよ…向き変えれば……?」
 
男2「変な板の上で、足の裏に何か刺さってて動けないんだよぉ…」
 
男1「だから泣くなってみっともない…!」
 
女1「余計なこと言うんじゃないわよ、そのハゲ頭に変なヅラ被せてやるから…!」
 
男1「例えば…?」
 
女1「キダ・タローの髪型のヅラとか」
 
男2「あれは髪型じゃなくてマジヅラなんだよ…!」
 
女1「そっかぁ…じゃあ、小倉智昭の髪型のヅラとか」
 
男2「お前わざと言ってるだろ……?」
 
女1「へ……!?!?」
 
男1「それくらいにしておかないとアブナイぞ…!抗議が来たらどうするんだ…?」
 
女1「抗議…!?どこから来るのよぉ、こんな与太話に」
 
男1「………」
 
男2「それにしても寒いな……」
 
男1「戻るなよ」
 
女1「戻るのは最悪ね」
 
男2「サメザメ………」
 
女1「今時泣く時に”サメザメ”なんて表現使うのって古っ……!」
 
男1「っつうか泣くんじゃねぇよ…!」
 
男2「俺は何しても叩かれるんだな……」
 
女1「気にしちゃダメ、今度はちゃんとスーツ着せてあげるから…」
 
男2「ひ ゃ っ ほ う … ! 」
 
男1「何かイラッとするんだよなぁ、コイツ…」
 
女1「ねぇ、さっきから貴女一言もしゃべらないけど具合でも悪いの…?」
 
女2「………」
 
男1「シカトはないよな…」
 
男2「”歯科と”何だって…?」
 
女1「イラッとするから口出ししないで…」
 
男2「………」
 
女1「何で貴女はシカトするのよ…!」
 
 
 
運送屋「お前らはマネキンだからだよっ…!」
 
 
 
マネキン女1「…」
 
マネキン男1「……」
 
マネキン男2「………」
 
マネキン女2「…………」
 
 
夜の街はこうして更け行く…
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
*この物語はフィクションです。
 
 

 
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「安っ、安いよ…!」

 男は買い物に来ていた。

 服を買いに来ていた。

 

 男は買い物の常で少しでも、1円でも安い服を探し求めて街を練り歩いていた。

 

「おっ、こっちの方が安いなぁっ…!」

 男は店の前で、時には店の中に入って値段を確認しては一喜一憂していた。

 

「うひゃあ、ここはスゲェや…!」

 男が足を止めた先には洋服店とは思えない小さい規模の店があった。

 

 しかし、その店には男の欲を満たさんばかりの貼り紙がしてあった。

 

【Yシャツ 400円!】

【手袋 800円!】

 

 男が今まで見てきたどの店よりも安い値段が付いていたのだ。

 

「うわっ、やべぇっ…!」

 

【ズボン 900円!】

【パーカー 900円!】

 

 目を凝らすとさらに刺激的な安売りの貼り紙が飛び込んできた。

 

「やあぁぁぁぁぁぁぁぁっ…!」

 

 まるで金脈を発見したかのような興奮で頓狂な声を上げ続ける男。

 

 その姿を見て周りの人々は露骨に眉をしかめたが、そんな様子が男にわかるはずもなかった。

 

「よぉし、ここで買うぞっ…!」

 

 男は落ち着きを取り戻した。

 

 そして呼吸を整えて店に入って行った。

 

 意気揚々と店に入って行った。

 

 

 

 

 男はクリーニング店へと入って行った………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【You are fool!】

 

 

 

 

 

 

*この物語はフィクションです。

 


 

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 食べ物を粗末にしてはいけない…

 

 以下は食べ物を粗末にして転落の人生を迎えた男の独白である。

 

 

 

××××××× 

 

 

 

 俺は選ばれた人間だ。

 

 ”人生の勝者”と言っても良いだろう。

 

 勉強もできるしスポーツ万能。

 

 そして甘いマスク(笑)

 

 俺は一流大学を出て、一流企業に就職し、人も羨むような生活を送ってきたんだ。

 

 彼女も超可愛い…!(笑)

 

 

 そんな完璧な俺だけどたった一つだけ誰にも言えない欠点があるんだ。

 

 それは「パンの耳が食えない」こと。

 

 パンの耳って美味しくないじゃん。

 

 何が楽しくて焦げた部分をわざわざ胃袋に収めなくてはいけないんだ!

 

 焦げたものを食うとガンになりやすいって説もあるし。

 

 とにかく俺はパンの耳が大嫌い。

 

 

 けど、困ったことに俺は食パンが大好きなんだよ…!

 

 あのフワフワした食感がたまらない…!

 

 食パンとストロベリージャムは神様がくれた最強の組み合わせ…!!

 

 

 だから俺は食パンを食う時にパンの耳を千切っては捨て、千切っては捨てを繰り返してきたんだ。

 

 今まで食ってきたパンの枚数はさすがに覚えてないけど何百枚、いや何千枚ものパンの耳を捨ててきたと思う。

 

 

 けど、後悔なんて全然してないぜ!

 

 俺は食パンが大好きで、パンの耳が大嫌いなだけ。

 

 それだけなんだ…

 

 

 

 「パタッ…」

 「ふぅ…」

 そこまでの独白を一気に日記にしたためた男は日記帳を閉じるとため息を一つついた。

 

 「どれ…」

 時計の針はもう日付が変わって、0時半を指していた。

 

 「夜食でも食うか…」

 「バタン…」

 そう呟くと男はキッチンへと向かい、棚を明け食パンを取り出した。

 

 「ヘヘへ…」

 「ブサッ……ポイッ……」

 男は器用にパンの耳を切り離し、生ゴミ入れに捨てた。

 そして、冷蔵庫からストロベリージャムを取り出さんと身体の向きを変えた瞬間、

 

 

 

 「ビキュ…ビキュッ……!」

 

 

 

 生ゴミ入れから異音がした。

 

 

 「ン……!?」

 振り向く男。

 

 

 「ギャアァァァァァァァァッ……!」

 

 

 そこには人間大に巨大化したパンの耳が立っていた。

 

 

 「ビキュ…ビキュッ……!」

 

 異音で空気を裂きながら耳が近づいてくる…

 

 

 「ワッ、ワッ…ヒッ、ヒイィィィィィィ…!」

 

 恐怖の叫びを上げる男。

 

 

 「モッタイネェ……」

 

 

 「た…助け…て……!!」

 

 巨大パンの耳は抑揚のない声を出しながら男のもとへ歩を進める。

 男は戦慄で腰を抜かし、座ったまま後ずさりした。

 

 

 「モッタイネェ……モッタイネェ……」

 

 

 「アギャグワァァァァァァァァッ……!」

 

 パンの耳が男の身体を拘束した。

 男はその美しい容姿に似合わない涙を流し、鼻水を垂らしながら、薄れ行く意識の中で

 

 

 (パンの耳は軽く炒めて砂糖を塗して牛乳をかけて食べるんだった)

 と悟ったのだった。

 

 

 

 「モッタイネェ……モッタイネェ……モッタイネェ……」

 

 

 

×××××××

 

 

 

 食べ物を粗末にしてはいけない。

 

 以上が食べ物を粗末にして転落の人生を迎えた男の独白である。

 

 

 

 

 

  

【ごちそうさまでした!】

   

 

 

 

*この物語はフィクションです。

 

 


 

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 このお話を読む前にショートショート「バレンタインデーにはチョコ食って…」を読んでね!

 

 

 今日はホワイトデー…!

 

 アイツにお返しをしなくちゃ…!

 

 憎きアイツに…!

 

 俺はアイツに酷い目に遭わされたんだ…!

 

 ちょうど一月前のバレンタインデーに…

 

 事の顛末を知りたい人はくどいようだけど一番上のリンクから飛んでくれ。

 

 どうだい、俺がどんなに酷い仕打ちを受けたかわかっただろう…?

 

 たかがアイツの初めてを奪ったくらいでよぉ。

 

 遊びじゃん、遊び…!

 

 面倒な女だぜまったく…!

 

 まぁ、でも考えてみりゃちょっと可哀想なことしちゃったかもって思ったりもするんだぜ。

 

 けど、それよりも俺がされたことの方がよっぽど酷い…!

 

 とにかく俺はアイツに復讐してやるってあの日から誓ったんだ…!

 

 アイツの苦しむ顔が見たくて一月も待ったんだ…!

 

 この”下剤入り唐辛子味のクッキー”をアイツに味あわせてやるんだ…!

 

 もし、食わないようなら強引に口に突っ込んでやる…!

 

 さぁ、来い…!! 

 

 

 ……と勇んで校門の前で俺はアイツを待ってるんだけど……

 

 

 5分…

 

 10分……

 

 15分………

 

 30分…………

 

 

 1時間待っても来ないのは何で…!?

 

 

 あっ、アイツの友達が部活終えて帰るみたいだからちょっと訊いてみよう。

 

 

 「ねぇねぇ…」

 「あっ…クスクス……」

 

 「何だよ!何がおかしいんだよ…!」

 「ごめんなさい、先月のことを思い出しちゃって…クスクス……」

 

 「うるさい!」

 「ごめんなさい、クスクス……」

 

 「……しゃあない……なぁ、谷野は今日学校に来てないのか…?」

 「ぷっ……アハハハハハハハ……!」

 

 「ムカつくなぁ…!何で笑うんだよ……!!」

 「アハハハハハ……!だって……だって……」

 「だって何だよ……!」

 

 「谷野ちゃん、昨日転校しましたよ…!」 

 

 「てんこう……!?」

 

 「えぇ、家族でアメリカに引っ越したんですよ、そんなことも知らなかったなんて…!アハハハハハハハハハハハ……!」

 

 「あめりか……!?」

 

 「今頃飛行機の中じゃないですか、アハハハハハハハハハハハ……!」

 

 「クソッ……!」

 「ドッサアッ……!」

 

 郷家は周到に準備した”下剤入り唐辛子味のクッキー”を地面に叩きつけた。

 

 「ウフフフフフフ……」

 

 飛行機の中ではまるで郷家の失態が見えているかのように谷野が笑い声を上げていた。

 

 

 

 

【Have a nice White Day!】

 

 

 

*この物語はフィクションです。

 


 

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 毎度。。。!

 

 昨日の記事にもあるように飲み会でショートショートを書いた。

 

 何故そのようなシチュエーションになったのかというと、友人の一人が突発的に、

 

 「飲みながらお題を出し合って小説を書こう!」と言い出したのが始まり。

 

 そんなわけで罰ゲームでもなければ飲み会が盛り上がらなかったわけでもなく、実に一種異様な、それでいて趣があって楽しい時間を過ごさせてもらった。

 

 小説ばかりでなく俳句もやったし、果ては替え歌も作ったし、イラストなんかも描いた。

 

 まぁ、俺の場合イラストはヤバイが。。。^-^;

 

 小説はまがりなりにも現在進行形で書いている立場なのでビールで呆けてしまった脳みそをフル稼働させて一生懸命書いたよ。

 

 今日はその2つのショートショートを載せるので皆さんにも楽しんでほしい。。。!

 

 完全即興、手直しほとんどなしなので整合性のなさはご愛嬌。。。^-^;

 

 

 

 それではどうぞ。。。!!

 

 

 

 

「奴をマークせよ!」

 

 

「カツカツカツカツ……」

 眠らない街に乾いた靴音が響く。

 

 僕がマークしている男は確実な意思を持って目的地へと向かっているようだ。

 

「コツコツコツコツ……」

 僕は奴に悟られないように、鼓動までも奴に合わせるようにして尾行していた。

 

 奴は全く僕に気付いていないようで後ろを振り向くことすらしない。

 

 アッ、自己紹介が遅れてしまったようだね。

 僕は名前は明かせないけど私立探偵なんだ。

 依頼されて奴を尾行しているんだ。

 もちろん依頼者のことも話すことはできないよ。

 今は僕が奴をマークしているってことのみ覚えておいてほしい…

 

「カツカツカツカツ……」

 黒いトレンチコートと帽子に身を包んだ奴は何処へ向かおうとしているのだろう…?

 

「コツコツコツコツ……」

 僕は奴を見失わないように追い続けるだけ。

 

 すると、

 

「タッタッタッタッ……!」

 突然奴が走り出した。

 

 尾行がバレてしまったのだろうか…?

 

「ダダダッ……!」

 僕は私立探偵の7ヵ条のひとつである”何時如何なる時も冷静に行動する”ということすら忘れて奴の後を追った。

 

 しかし、時既に遅し…

 僕の視界から奴は消えていた。

 

「ハァ………」

 僕は自らの失態を恥じ、あてどもなく奴の行方を捜した。

 

「………」

 いつの間にか僕は歓楽街に来ていた。

「………!?」

 ふと、その中で一際光を放つホテルに僕は目を奪われた。

 

「あ……!」

 入り口の前に奴が立っていた。

 

「今回は私の勝ちね…!」

 奴はそう言って帽子を脱いだ。

 

 そこにいたのは僕の彼女だった。

 

「今回のホテル代は僕持ちかぁ……」

 

 そう、僕が探偵ってのは真っ赤なウソ。

 僕は彼女と”尾行ごっこ”をしてたんだ!

 

「行こ!」

「うん!」

 

 ごっこを終えた僕らはホテルへと歩を進めた。

 

 

 

~THE END~

 

 

 

*この物語はフィクションです。

 


 

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「遺言」

 

 

「カタッ…!」

 

 嗚呼、何てことだ…!

 私にはやらなくてはいけないことがあるんだ…!

 この生命が尽きるその前に遺言状をしたためなくては…

 私の生きてきた全てが無駄になってしまう…!

 

 したためなくては、遺言状を…!

 

 でも…

 でも……

 

 私の意識は遠のいていく…

 もう目の前が霞んでわずか十数センチ先の視界さえままならない…

 

 私は死ぬのだ…

 

 でも…

 でも……

 

 薄れ行く意識の中で私は”これが人生なのだ”と思った。

 思うようにいかない、決して自分の青写真の通りにいかないものだと。

 人生の中でそのような場面はいくつもあるじゃないか…!

 ただ私の場合、それが今際の際に来てまで起こっただけのこと…

 

 そう考えると私は気が楽になり、

 いつ目覚めるとも知れぬ眠りに就いた…

 

 

 

~Fin~

 

 

 

*この物語はフィクションです。

 


 

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 当然ながら2つは全く別のお話ね。

 

 これを読んだ友人が「とてもポジティヴシンキングだね!」と評したのがやけに印象に残った。

 

 俺は自分の書く物語をペシミスティックでネガティヴな要素が多いと自己分析していたし、この2つの話もそのように思っていたからだ。

 

 これだから他人からいただく評価は興味深く、面白い。。。!

 

 

 

 またこういう催しをやりたいなと思い帰途に着いた。

 

 

 

 

 

 ではまた次回^^

 

 

 

「あ、郷家(ごうけ)先輩…!」

「谷野(やの)…」

 

「来てくれたんですね、嬉しい…!」

「そりゃ…なぁ…」

 

(あーあ、何だってこの忙しい日に呼び出しやがったんだ!2、3回遊んでやったくらいで恋人面かぁ…!?さっさと終わらせてミキん所へ行かないと…)

 

「私…先輩に●●●●●●ちゃったでしょ…だからやっぱりぃ…バレンタインデーだしぃ…」

「谷野…」

「ハイ…!?」

「何で伏字なんだ…!?」

「生々しいからです!」

「そうか……」

 

「話戻しますね…私…今日、先輩に喜んでもらおうと一生懸命チョコ作ったんです!手作りです!」

「そうだったんだ…嬉しいな…!」

 

(これだよ、”手作り”って馬草で自分へ惹きつけようって魂胆なんだ…!面倒臭い女…!マジで早くミキん所へ行かないと…)

 

「時間は取らせません…ただ、ここでチョコ食べてほしいんです!」

「あ…イイよ…!食べる食べる!早く出して!」

 

「はぁい…!」

「オッ…いっぱい作ったんだなぁ…」

「一つの味だけじゃ飽きると思ってぇ…」

「そうなんだ。じゃあこれから食べてみよう…」

 

「モグモグ………」

「どうですか?」

「何か、中身がフニャフニャするぞ…」

「はぁい…!キットカットを溶かして固め直しましたからぁ…!」

 

「なるほど、だからウエハースの部分がフニャフニャに………ってダメじゃんそれじゃ!」

「えぇっ、何でですかぁ…!?」

「チョコを溶かす場合は何も入ってないノーマルなやつじゃないと…」

「ゴメン…なさい……」

 

(おい、何で泣くんだよ!泣きたいのはこっちだって…ホント面倒な女だ。マジで早くミキの所へ行かないと…)

 

「じゃあ、気を取り直してこれ食べてくださぁい…!」

「気を取り直すことなんて無理だぞ……もう泣き止んでるし…でもまぁいいか……じゃ、これ…」

「それはウイスキーボンボンからアイディアをいただきましたぁ…」

 

「ふぅん…モグモグ……ブェーーーーッ…!!」

「あら、吐き出すなんてもったいない…!どうしたんですか…?」

「辛い、不味い、気持ち悪い…!」

「三拍子揃ってますぅ…!」

「うるさいっ!頭が割れるように不味いぞ…!何だこれ…!?」

「ラー油です」

「ラー油…!?お前バカか…?ラー油なんて入れて美味くなるとでも思ったのか…?」

「だからウイスキーボンボンからアイディアを…」

 

「わかった、もういい!帰る…!」

「あ、先輩!帰る前にあとひとつ、これだけ食べてってください…」

 

(意味わかんねぇ…でも、これ食えばミキの所へ行けるか…)

 

「おう、じゃあこれだけ食うぞ!モグモグ……」

「どうですか…?美味しい…?」

「うん……ちょっとモサモサしてるけど味は悪くない…っていうか今までで一番美味い!これは何…?」

「はぁい、コンテチョークを溶かして砂糖入れて固めましたぁ!」

「へぇ、コンテってこんな味するんだ…ちょっとした工夫で何でも美味しくなる……っててめぇ!」

「……!?」

「コンテは食い物じゃねぇだろうが!」

 

「あれ…!?」

「頭おかしいんじゃないのか?こんなことしやがって…」

「ゴメンなさい…」

「謝って済む問題じゃないぞ…」

「違うんですぅ…」

「……!?」

 

「今のコンテチョコの中に入れた物がもうひとつあって…それを言うの忘れちゃったんですぅ…」

「はぁ…!?」

「下剤…入ってます…」

「ひぃ…!?」

 

「やだぁ、先輩ったら私にそんな恥ずかしいこと言わせてぇ……!」

「ぎゃぁんくvbxcウェcwqcb肉wc部位wなpplcp@cだえdkxhwぅkっ……!!」

 

郷家は腹痛を起こしたらしく脱兎の如く去って行った。

一人残された谷野は屈託のない笑みを浮かべて呟いた。

 

 

「バカをからかうのって面白いわぁ…!」

 

 

 

 

 

 

【Have a nice St. Valentine's Day!】

 

 

 

*この物語はフィクションです。

 


 

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